L'Arc-en-Ciel(ラルク・アン・シエル)アンオフィシャルファンサイト

自由への招待 ---「awake」収録


世界の自由度

例えば、この曲が「REAL」に入っているところなんて到底想像出来ません。その他のアルバムも同様です。この曲のトーンライトな感覚は、ここに来てようやくL'Arcが手にしたものです。DIVEやsnowでも、ここまで前へ前へつんのめるような走りは見られませんでした。

迷い痛みも一切振り切り、立ち止まることなど考えられないといった笑顔で走り抜けるL'Arc。この曲の自由度の高さはそのまま、彼らの描いている世界の自由度が今いかに高いかを教えてくれているようです。

あらゆる束縛を遠くに追いやり、悩むのをやめて、衝動を持って生きていくことこそ、走って追い求めるべき「強さ」なんだと、彼らの自由な音が訴えかけます。


words〜hydeを聴く〜

「自由への招待」

タイトルだけでこの曲の詞は完結です。言葉の細かな意味より曲全体のノリが優先されている感じです。こういう勢いのある曲に、サビも含め全部日本語詞でやってやろうというhydeの息込みには感心します。

「暴走への誘惑 渋滞にて最悪 / 足取りは遅く 中指は早く」

悲しいほど伝わらないもどかしい恋心を、"休日の目障りな渋滞に巻き込まれて一向に進まない最悪な状況"と重ね合わせるなんてさすがhydeといったところ。今すぐ駆け抜けて行きたいのに、いつまで経っても「足取りは遅」いまま。動かない状況の中で、普段温厚な性格の彼も、周囲をびびらす毒舌ぶりで文句タラタラ、不機嫌な表情や落ち着き無くノックを繰り返す中指からも、彼のはやる気持ちが伝わってきます。

「急いで君への迷路を駆け回る」

君への道はまるで混雑した道路、入り組んだ迷路。しかも君はじっと止まっていないんだもの。でもどこへ行ってもいいからさ、僕は君を追いかけるから、絶対君のとこまでいくからさ、君はこんな僕を止めないでくれよ

「今日こそは狙いを定め 隙間を抜けて笑顔の彼方へ」

追い越す追い越す、障害物喧騒も。彼女の「笑顔」に向かって走り続ける。君の「笑顔」はまるで青空、こんな近いのにどこまで走っても遠いまま。その笑顔に飛び込んで空も越えられたなら、何が分かるだろう!その「彼方」まで行けたなら、君のも掴めるのかな!?

「もう二度と今は戻らない 追い越す過去 あざ笑うような未来見つめたまま」

目の前で滞ったまま行く手を阻んでいた「過去」をようやく追い越し、「未来」そのものである君の笑顔に手を伸ばす!こんな僕を君はくすくす笑ってるようだけど。それも今のうちだよ、もう迷わないから、君をこんなに想っている「」って時間は戻らないから。

渋滞の隙間を抜けて「君」のもとへ駆け抜けていくことと、過去を追い越し今を追いかけ未来へ手を伸ばすことが、「僕」にとってはまるで同等であるかのように、歌詞の中では対比されて描かれています。「今」を必死に生きて「未来」を手にすることが、すなわち想い人に気持ちを届けることだなんて、なんて素敵な感覚でしょう!それくらい目一杯恋愛出来るなら、確かに笑顔の彼方まで行ってしまいそう。

「こんなにもそばに居ても遠く ねえ誰か 自由への招待を!」

未来」を掴むのに必要だったのは、過去を振り切り「自由」を欲する強い「意思」だったってことです。身を乗り出して自ら「自由への招待」を欲しさえすれば、いつでも笑顔の彼方へ飛び出せたんですから。


あからさまな韻

何と言ってもビックリだったのは、「あの」hydeが、こんなあからさまに「韻踏んでるヨ・・・」ってことで。今はこの爽快さに免じていいことにしてますが、最初は「ゆるせないっ!」と息巻いてました。

私はhydeに詞の形式においてはそういう下手な小細工一切して欲しくないんです。理由としては、ひとつに、彼の表情豊かな歌唱を堪能するのに形式的装飾が目障りであること、もうひとつに、彼の詞における独特の流れが断絶してしまう印象を受けること、最後に、彼には感性だけでストレートに勝負して欲しいこと、があります。

ところが意外なことに、この曲の韻の踏み方は大成功で、断絶された詞の流れさえぎこちないくらい前のめりなこの曲の雰囲気にマッチしています。



2005/09/23
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